見えない仮面
世の中には目には見えないものがたくさんあります。
じつは、仮面もその中のうちのひとつです。
「見えない仮面なんて、あるわけないじゃないか。」
そういう方もおられます。
でもわたしは、ワークショップで必ずこの「見えない仮面」を扱います。
仮面はむかしから、いろんな国で、比喩として使われてきました。
比喩としての仮面は、どなたもよく聞いたことがあると思います。
「あいつは仮面をかぶっている」
なんて、よくいったものです。
仮面をかぶっているといわれたとき、そのひとはなにか本心を隠しているようなふるまいをしています。
そうした見え透いた演技に対して、わたしたちはそれを仮面と重ね合わせてきました。
仮面をかぶったやつなんか、信用ならない。
「ほんとうの顔」を隠して、人間同士の付き合いができるものか。
そんな声が聞こえてきます。
でも、じつは、仮面をかぶっているその顔と、仮面をはずしたあとの顔、そのふたつはおんなじ顔であるはずです。
「そりゃあ比喩だから、あたりまえじゃないか」
そうです。比喩なんです。
それでもたしかに、あのひとは見えない仮面をかぶっていました。
おんなじ顔なのに、「ほんとうの顔」なのに、仮面をかぶることはできるのです。
見えない仮面、ちょっと見えるようになってきました?
大川原