仮面のつかいかた
仮面をつけると、変身する。
これは、ある意味でほんとうでもあり、嘘でもあります。
夏祭りの夜店で買ったヒーローのお面をつけて
「へーんしん!」
といっている子供を思い浮かべられないひとはいないでしょう。
こうしたとき、子供はほんとうにヒーローであり、真剣に悪と戦っているのです。
お化粧と違い、仮面にはすぐにつけたり外したりできる性質があります。
まるでヒーローのように、有事のときに変身して、ことがすんだら元に戻る。そんなことが、ほんとうに可能なのかもしれませんね。
とはいえ、
いくらいわくのありそうな仮面をつけたところで、急にからだが大きくなったり、人格を変えてしまうような、そんな仮面は実際にはありません。
でも、あなたがほんとうに別の何かに変身してみたいと思うなら、仮面はほんの少しだけあなたのお手伝いができるかもしれません。
ところで、そもそも、仮面が変身のためだけの道具なのかというと、必ずしもそういうわけではありません。
ひとの顔をかたどった物体に祈りをささげたり、身代わりを頼んだりする文化もあります。
仮面にはいろんな使いみちがあります。
何かに変身するもよし、じっと祈りをささげるもよし。
魔除けや、呪いにも効果はばつぐんです。
なぜかって、仮面は顔ですから。
仮面という、顔に出会うこと。
それは、ひとと出会うよりもおもしろい体験になるかもしれません。
大川原