フリーランスの友人たちへ

※手紙です。

フリーランスの友人たちへ

 

いつもお仕事おつかれさまです。ここのところの気苦労お察しします。

 

昨今は特に、急に仕事がキャンセルになったり、国や世間に人間として扱われてないんじゃないかと思うようなことがあったりしてとてもつらいですよね。

 

ここ数日、フリーで活動している友人たちが現状に対応する新しいプロジェクトを立ち上げたり、SNSに職能のリストをつくったりしていて、みんなが「(自分にも)何かできることはないか」とせわしなくしているのを(画面越しに)見かけます。

 

それらの活動はとても素敵だと思うし、応援したい気持ちもあるのですが、なんとなくモヤモヤを抱えてもいます。やっぱり、あたくしも含め誰もがパニックになっているんじゃないか。

 

みなさんがやっていた「普段の仕事」は、ほんとうにいまはできないことなんだろうか?

 

半年以上先まで決まっていた仕事が軒並み無くなってしまった話などをざらに聞くし、焦りはすごくわかります。「何か新しいアクションを起こさなきゃ」とか、「誰でもいいから仕事ちょうだい!」という気持ちになりますよね。

 

けれど、やはりいったん立ち止まって深呼吸をすることが肝要なんじゃないかなと思います。深呼吸して、ゆっくりお茶を飲みながらいつも通りに過ごそう。本を読んで、論文を書いたり、絵を描いたり、プログラムを組んだり、トレーニングをしよう。

 

クライアントではなく、ほかならぬ自分自身のために創作をしよう。

 

たぶん、いまやるべきは「営業」じゃなくて、「研究・開発」なんだと思う。

 

みなさんは自分の力だけで何かを生み出すことができ、それによって世界をちょっとずつよいものにして行けるスーパーパワーの持ち主なので、それを自分で過小評価しちゃいけない。

 

そして、急に新しくて革新的な出来事も起こりようがない、ということはわかっているはず。そういうことを普段から一番実感しているのはみなさん自身なんじゃないかしら。

 

普段やっていたことを、ほんのちょっとだけ形を変えて継続すること。じっさい、これ以上のことはやりようがないと思うんですよ。

 

そしてこの機会に、あたくしから皆さんに提言したいことがひとつ。

 

それは、自らの力で仕事を生み出すやりかたを身に着けませんか、ということ。

 

あたくしのところにはよく「お仕事ないっすか~」といった連絡がきます。今回のことで相談も増えてるし、いつもよりも切実な思いも詰まっている気がする。

 

特にいま実感していると思うのですが、ひとところから似たような仕事をもらい続けるのはリスクが高い。けれど、多くのフリーランスはそうした構造の中で仕事をしていて、あくまでクライアントワークがベースになっているひとが多いと思います。

 

そうした「人に頼まれてやるぞ」みたいなありようは、主に肯定されるし広がりもある。ただ、けっきょくそれは、これからどんどんやっていけなくなるんじゃないかな。少なくとも、それだけに依存する危うさは感じているところだと思います。

 

だから、せっかく家にこもっている時間をつかって、みなさんがもっているクリエイティブを「仕事をつくる」という方向に向けてみたらいいんじゃないかしら。とにかく焦らず、ね。

 

 

あたくしももともとフリーランスでした(今もそんなに変わりません)。よかったのか悪かったのか、クライアントワークをほとんどしないかたちでこれまでやってきたので、何とか仕事を創造して生きることをやってきました。あたくしのノウハウでよければ共有するし、相談にも乗ります。

 

ひとりにできることはほんとうに限られています。それでも、その限界を自覚しながらも、目の前でできることをやり続けることが、自分たちにできる唯一のことなんじゃないかな。

 

あたくしもとりあえず、お茶を飲んで、いつもの倍くらいゆっくり動いてみています。