バーチャルとリアルの間にある緑色の液体。

せんじつ、仮面作家で陶芸家の坂爪康太郎が、弊店「うそのたばこ店」で「一日限定バーチャルろくろストア」を開催しました。

 

 

すでにいろいろと情報が混みあっているのですが、より正確にお伝えするためにもうすこし詳しく説明します。

 

バーチャルろくろ」とは、なにかとメディアっぽい表現をしている東信伍さん(Image Club)がつくった3Dモデリングシステムです。バーチャル空間で回っているろくろに対峙し、それらしい手の動きをすると器ができます。

 

見ればわかる。

 

バーチャルろくろシステム

 

このシステムを使用し、3Dプリントした型を使って実際に陶芸作品をつくっているのが坂爪康太郎です。つまり、リアルうつわですね。

 

めちゃくちゃいいかんじな器たち

 

なんといってもリアルうつわは現実に存在するのでものをよそうことができます。

今回のイベントではその仕組みをいち早く理解していた茶人の矢島愛子さんが、リアルうつわに抹茶を点てて提供していました。つまりジャスト抹茶です。

 

ジャスト抹茶ラテ

総括すると、以下のようになります。

「タバコのふりをしてトランプを販売するカフェバーで、バーチャルろくろで生成したリアルうつわの販売、及びリアルうつわに抹茶を点てて提供するイベントが開催された」

概念の大渋滞ですね。

これぞ我が道、という気分だ。

 

 

ところで、今回の矢島さんの抹茶、ジャスト抹茶と称してはみたものの、実際のところ正確には「境界の抹茶」とでも呼んだほうがよい趣だったな、とかんじました。

 

もともと器というものは、絶えず揺らめく液体に一時的な形を整えるものです。その意味で器こそが境界であるといういいかたもできますが、このイベントにおいてはむしろ、液体こそがうつわのバーチャルとリアルを結びつける働きをしていたのだな、と思えました。

 

だいたいあたくしたちはむかしから液体を囲み、分離できないものを共有することでわかりえないことを確かめてきたのでした。抹茶が揺らめく境界としての機能を果たすことで、概念の渋滞を緩和する一時の流れがつくられていたような気がしています。

 

もともと抹茶そのものも、点てたそばから飲んでしまわなければすぐに分離してしまうような儚いものです。あたくしはばたばたして味わいタイムを逃しましたが、いつもそういうものをつぶさに楽しめる余裕を持ちたいものですね。

 

 

イベントや催しというもの、あるいはひびの一服というもの、意外と気を抜くとするりと手から抜け落ちてしまう。まさに抹茶のような味わいだなと思いますね。

 

まあ、そういうものが好きなんですね。