坂爪康太郎 KOTARO SAKAZUME

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坂爪康太郎は、私が仮面屋をはじめるきっかけになったアーティストです。

某雑誌の特集で紹介されていた彼の作品を見て一目ぼれし、展示会に駆けつけました。そして展示会に行き、さらに洗練された作品群を目の当たりにして二度驚きました。

これが、そのときに一目ぼれした仮面。

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「眼鏡をかけたままかぶることのできる仮面」という気の狂ったコンセプトと、ポップでキャッチーなビジュアルに惚れこみました。後日彼のアトリエを訪れ、さんざんに悩んだ末、人生で初の仮面を3体購入しました。

陶芸出身の彼の作品は、特に質感にこだわりを持ちます。
丹念に磨かれた曇りひとつない肌や、焼かれることで重厚感を得た濃密な質感。

一度、彼の制作の手伝いをしたことがありますが、一日中ひたすら表面を磨く作業をして腱鞘炎になりかけました。「最後に仮面を磨く作業がいちばん好きだ」といっていました。生粋の仮面フリークであり、こだわりの強い作家です。

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彼は仮面を「顔を入れる器」としてとらえ、かぶったひとや、みたひとの視覚や、身体感覚を変容する作品を多くつくっています。私は、しばしばそうした彼の作品をかぶっておどります。目の前が見えなかったり、横しか向けなかったり、いろいろと正直しんどいのですが、一方でとても発見があります。仮面によってふだんのからだの感覚ががらりと変わり、なにか怪物にでもなったような気にさえなります。

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彼の手について話しておきたいのですが、坂爪の手はとても大きいのです。その大きくて、武骨な手は、これまで数多くのかたちをつくってきたのだという確かな自信に満ち溢れています。自分自身の手でかたちを生み出す。手の感覚や、感触を、信頼している。そういう愚直なものづくりをしてきた作家でもあります。

顔をモチーフにした一輪挿し「KAZURA」なども、そうしたこだわりのプロダクトです。花を生けることで、無機質な顔に表情を生み出します。

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坂爪は、仮面というものに対して、とても誠実に挑戦をし続けている作家だと思います。仮面を単なる装飾品ととらえず、常に仮面の可能性を模索し、堪能している。そうした中で生まれるあたらしい「かたち」をつぶさにとらえ、表現をする。そんな作家です。

さいきんは能面に興味があるようで、能の学校に行ったり、能面をモチーフにした現代的な仮面をつくったりもしています。案外、能舞台で彼の仮面が見れる日も近いかもれません。

あと、これだけはいっておきたいのですが、とてもイケメンです。
はっきり言いますが、かなり好みの顔です。

※坂爪の作品についてのお問い合わせや、お仕事のご依頼は仮面屋おもてまでお気軽にご連絡ください。

大川原脩平