舞台の境目に立つということ

大川原脩平です。

あたくしは普段、舞台に立ってしゃべったり、おどったりしているわけですが、どうにもこういうことをしていると、素朴に浮世離れをした人だと思われがちです。なにせ、舞台上では必要以上に大きな声を出したり、脱いだり、発狂したようにじたばたしたりするのです。

とはいえ、もちろん多くのパフォーマーは、舞台を降りてからもそういうふうなわけではありません。もしそうであれば、あたくしは舞台を降りた瞬間に、路地裏の闇の中へ消えて行ってしまうでしょう。

あたくしを含め、舞台に立つ人たちの多くは、わりかし常識的な人間として社会で生きています。そのため、舞台上でどれだけ発狂していようが、そこから降り立った瞬間に社会人としての節度ある態度を求められます。(「社会人として」とかいってしまった!)

それでは舞台の境目に、そんなにも世界が変わってしまうような境界があるのかというと、実際にはそうでもありません。ただちょっと目線が高くなっているくらいのものです。じゃあ、さっきまで半狂乱でおどっていたひとはいったいどこへいってしまったのでしょうか?

そういうふうにかんがえると、普段の生活の中のちょっとした段差の上にも、世界を一変させる景色があるようにも思えてきます。案外、いま立っているその場所が、なにか興味深い世界への入り口かもしれません。

こうした考えは、なにもちょっとしたおもしろ小話ではなく、実際にあたくしが感じていることです。舞台上の世界は、あたくしたちが生きている現実の世界とあまりにも地続きです。だからこそあたくしたちは舞台に立つし、舞台を通じて世界をかえようと思うのです。

けれどちょっと待ってください。いま、目の前にある段差の上にも違った世界が広がっているのだとしたら、あたくしたちはなにも、劇場で舞台をやる必要はありません。

道端で、公園で、学校で、企業で、その他のあらゆる場所で舞台は有効です。「有効」というのは「上演できる」という意味ではありません。「上演する意味がある」ということです。あたくしたちの生活にとって、舞台はきっと「有効」なのです。

そうしたことで、いろいろな場所で舞台をやるということを始めてみることにしました。ひとまず、最初はやっぱり、いろいろな人が集まる場所がいい。

日本橋にあるコワーキングオフィスをお借りして、参加型の演劇をつくりました。
ふだん考える舞台というものをすっかり忘れて、新たな気持ちでお越しください。

なにせ、彼らは「研修演劇」と名乗っています。
すてきなかぶりものをして、みんなでにこやかに研修をはじめましょう。

次世代型研修演劇「ハイパーコンサルタントふじさわ(仮)」
日時:2月26日(金)19:00~20:00(18:30開場)
場所:Clipニホンバシ(東京都中央区日本橋室町3丁目3–3 CMビル 6F)
料金:3000円

お申込み:info@kamenyaomote.com(定員30名)

企画:仮面屋おもて
協力:Allergen Theatre
衣装:大石麻央
出演:渡辺咲 郡司厚太 関根美月 長谷川皓大 池田優香
制作:千葉ゆり