仮面作家がふえている

「仮面作家」という名前には、なんだか魅力的な響きがあります。

日本にはむかしから「面打ち」とよばれる能面の作家さんがいます。能面は仮面の世界でも世に聞こえた傑作です。世界じゅうのえらいひとたちが、口をそろえて「能面は最高だ」といいます。

でも、うちで扱っているのは見たことも聞いたこともないような仮面たちです。それは何故でしょうか?

理由は大きく2つあります。

まずひとつめは、能面を売るひとたちはもう既にいるということです。

「面打ち」は昔からある職業なので、それを売るひとたちもすでにたくさんいるのです。
そんな中に、私のような新参者が入るすきはありません。

もうひとつの理由は、いま、仮面をつくるひとたちがどんどん増えてきているということです。

彼らの中には自分のことを「仮面作家だ」と思っているひとも、思っていないひともいます。
仮面作家だと思っていなくても、なんの気なしに仮面のようなものをつくっているひとが増えてきています。

それが何を表しているのか、まだはっきりとはわかりません。

けれど、そのようなひとたちと出会って、「これは仮面ですよ」とはっきり伝えてあげることも、仮面屋としての役目ではないのかなと思っています。

大川原

仮面屋おもて